兒島ゼミでは、何よりも主体的な学びと他者との学び合いを重視します。「人の移動と教育」を大きなテーマとしながら、学生が自ら課題を設定し、関連文献を読み込んで理解を深めたうえで、インタビューや参与観察などの手法を用いて課題を解明するための調査を実施していきます。3回生の春学期には、4名程度のグループごとに解明すべき課題を設定し、関連文献リストを作成したうえで文献を読み進め、発表およびディスカッションを行います。秋学期には、課題の解明に向けて調査を実施し、成果を発表したうえで報告書にまとめます。これまでに、「帰国子女の人間形成─母親の経験と選択との関連性」「在日中国人留学生が抱える問題─『劇本殺』を背景に」「学校コミュニティ内における母語教育」「日本の特徴を踏まえた効果的な異文化理解教育」などのテーマでグループワークが実施されました。4回生では、グループワークを通して深まった問題関心に基づいて、各自、卒業論文に取り組んでいきます。
「海外帰国生の海外経験による就職実態へのインパクト」
「トランスナショナルな視点から考える在日コリアン―ディアスポラ論と国境を越える移動を中心として―」
「無戸籍問題はなぜ解決へ進まないのか」
「学生の大学進学経験と自己のキャリア選択に与える影響について」
「日本における共食の今後の在り方―共食の変容と現状から考える―」
ヨーロッパの教育文化に関心を持つ者が集まるゼミです。3回生の春学期には、まず『歴史学入門』(福井憲彦著、岩波書店、2006)を読みます。教育文化へアプローチする方法として歴史学について学ぶのが目的です。続いてフィリップ・アリエス(杉山光信、杉山美恵子訳)『子供の誕生』(みすず書房、1980)に挑戦します。一人で読み通すのは難しそうな本ですが、全員で担当箇所を決めて内容をまとめるレジュメを作り、それを授業で報告し、疑問点や注目点などを議論しながら読み進めます。ヨーロッパの教育の変化を詳しく知ることができます。3回生の秋学期は、さらに視野を広げてロベール・ミュシャンブレッド(石井洋二郎訳)『近代人の誕生』(筑摩書房、1992)を通読します。以上の全体学習と並行して、3回生から各自の卒業論文のテーマ設定と文献探しにも取り組んでいます。4回生ゼミでは、毎回、卒論へ向けた研究報告が行われ、全員で検討して内容を深めます。
「西洋余暇文化史への試み―思想と実態の変化から―」
「チェコ児童文化の魅力―絵本・人形劇・人形アニメーション―」
「グルントヴィの思想とフォルケ・ホイスコーレ」
「ドイツにおける教員養成―理論と実践を統合した教員養成―」
「フィンランドにおける特別支援教育」
中川先生はゼミ生みんなに愛されるクマみたいな方です。3回生ゼミでは「バガヴァッド・ギーター」について学び、インド社会の根本にある思想を学んでいます。ゼミ生同士の活発なディスカッションも行ない、ギーターに述べられている人生哲学についての深い理解を目指しています。中川先生は、ご自身で撮られたインドの写真や映像を見せてくださったり、インドで体験したエピソードを話してくださるので、週一度のゼミは私たちゼミ生の楽しみになっています。
4回生は、中川先生が醸し出す穏やかな雰囲気のもと、学生が主体となって活動しています。教育や文化に関わることなら幅広く研究することができるため、学校における身体論や日本人のアイデンティティ、演劇に関することなど、ゼミ生の研究テーマもバラエティ豊かです。これまでの経験や日々の生活を通して生まれる問題意識や興味関心を研究に反映しているゼミ生が多いです。
「エーリッヒ・フロムの「ある様式」について」
「宮沢賢治はどのように語るのか-現象を語る賢治の言葉」
「グルジェフの人間形成論」
「シュタイナー教育における「教室」―フォルムと色彩から」
「ハズラット・イナヤット・ハーンの教育論-スーフィー的人間形成について」
奥井ゼミでは、現地に行く、現地で話を聞くといったフィールドワークを軸に研究を進めます。3回生からそれぞれ興味のあるフィールドに赴き、そこで感じたときめきや違和感、気がついたものすべてを見つめ直し、一つの課題として考えていきます。4回生では文献資料の読み込みも進めながら、それぞれの課題を卒論へ結実させます。
フィールドは自分自身で選ぶため、ゼミ生の研究テーマはかなり多岐にわたります。一人で行うことの多いフィールドワークですが、「それぞれのテーマに向き合ってくれる先生がいる」そして「一緒に考えてくれる仲間がいる」のが奥井ゼミの魅力です。ゼミの時間以外にも奥井先生の研究室にみんなが集まり、言葉を交わしていることも多いです。
フィールドワークと聞くと大変そうなイメージがあるかもしれません。しかし、フィールドは特別な場所とは限りません。奥井ゼミでは「日常生活の至るところがフィールドである」ことを大切に研究を進めています。
「子どもの触感する音―音楽療法への参与観察をもとに現象学から見る」
「学校における働き方改革―小学校における個別対応の事例から」
「子どもと大人がぶつかる空間―フィールドワークからみえる『子ども食堂』における文化的交じり合い」
「演劇らしさとはなにか―オンライン演劇の考察から」
「辺野古ゲート前の日常―社会運動における異質な他者の『包容』の原理」
「応援と支援の間―ブラインドサッカーチームにおけるコミュニケーションの創発」
ビリーゼミでは、「行動を伴った学び」を行うことをモットーに、活動しています。主に、①自分と世界とのつながりを知る。②そのつながりを知ったうえで責任を持つ。③主体性を持って実際に行動に移す。これら3つのポイントをベースとして、グローバリゼーションと教育とのつながりを学んでいます。英語で文献を読み、ディスカッションやディベートを行うアカデミックな活動はもちろんですが、ナイトハイキングや仮装パーティーなどの楽しいアクティビティを通しての学びや、文献などから学んだことを児童館で子供たちに授業をするなど、ゼミ生が主体となって実際に行動に移して活動することも重要視しています。最終的にゼミ生は英語で卒業論文を提出するので、英語に触れる機会がたくさんあるのも、ビリーゼミの特徴です。
「Teacher Training in Citizenship Education as a Means to ESD in Japan」
「Beyond Just Survival: A Study of "Resilience" Among NGOs Working with Victims of Sex Trafficking in West Bengal, India」
「The Educational Function and Value of International Expositions: A Case Study of the 2005 World Expo in Aichi, Japan」
「Beyond the Counterterrorism Mindset: An Analysis of the Politics of Education Reform in Pakistan」
「The Spread of Shadow Education: A Brief Study of the Overseas Expansion of Japanese Juku」
山田ゼミでは、「高等教育の質保証」をめぐる様々な諸概念や制度について学びます。ゼミでは、大学改革に関する文献を講読し、発表者は事前に文献の内容と論点をまとめます。そのレジュメに基づき、ゼミ生の相互の意見交換、ディスカッションを通して、高等教育の在り方について考察します。またその際に日米の高等教育の比較を中心とした、多角的な分析的視角を利用し、教育文化の国際比較を試みます。また、ジェンダーと教育をめぐる問題についても考えることができ、研究内容は広範囲に及びます。
また、「日本政策会議(ISFJ)」の参加(任意)に向けてプロジェクトを立ち上げ、ゼミ以外の時間でも、ゼミで学修した知識を応用し、チームワークを発揮し、主体的に学ぶことができます。
このように、山田ゼミでは、日本の高等教育の諸問題についての疑問や問題点を発見し、それらの問題の解決へ真剣に向き合います。そして、学生に求められる「学び」の本質について見直し、充実した「学び」ができるゼミだといえます。
「大学院における社会人学生の学びがどう生きるか」
「「キャリア系学科」における「教育の職業的意義」の検討」
「ロールモデルにおける性別の偏りと女性の理工系学部進学率の関係性についての考察」
「現代学生の自治意識の内実とその背景―60年代後半、全共闘時代の学生との比較から―」
「教育の地域間格差―都市と地方の教育格差について―」
吉田ゼミでは、主にキリスト教文化の観点から多文化共生社会における人間形成の問題を考察しています。フィールドとして扱うのは、アメリカ社会、そして、そのグローバル社会との関係です。アメリカ社会がグローバル社会に対して自称し、または要求する「多文化」とはどのようなものなのか、またはそれを担う市民はどのように「人間形成」されているのか等を中心に研究しています。
基本的に文献や史料を読んで自分の研究を進めていきます。文献は日本語だけでなく英語のものも取り扱い、史料には書簡、報告書、機関紙、新聞、映像、雑誌などを使います。毎週または隔週のペースで自身やグループの進捗状況を文書にし、先生やゼミ生に報告します。
例年、勉強熱心な学生が集まる印象です。先生からの手厚い指導もあり、研究で行き詰った時も他の学生や先生に相談しやすい環境となっています。英語が不得意でも問題なく、自分の好きなテーマをとことん追求することができます。「他のゼミより大変そう」と思われることもありますが、ゼミ生の多くがアルバイトや部活・教職課程などと両立しており、また学年の垣根をこえて皆で食事に行くこともあります。
「1920年代「理想的アメリカ人」の創造-優生学の両義性-」
「1940年代「市民的自由」の形成-ACLUの観た日系人強制収容-」
「1950年代~1960年代『理想的アメリカ人』と日米関係-日系人モデル・マイノリティ論に託されたもの-」
「1960~1970年代ヒーローが守ろうとしたアメリカ社会-スパイダーマンと青少年薬物乱用問題 」
「1980年代~1990年代倫理的消費を巡る一考察-イコールエクスチェンジによるフェアトレード運動」